先週INSEE(国立統計経済研究所)がフランスの労働市場に関するレポートを発表しました。2017年度の失業率は9.4%だったそうです。「とても高い失業率だ!」という印象を受けてしまいますが、2015年度は10.4%、2016年度は10.1%、そして昨年度の9.4%と、これでも随分下がってきているのです。

直近10年のフランスの失業率の推移のグラフは下記のようになります。青緑色の線が男性、黄色が女性、黒字の線が総合の失業率を示します。

(出典 : INSEE)

仕事に就いている人のうち、8.7%に当たる人が「他の仕事に就きたい」と考えているそうです。しかしながら「違う職を探したい」と思っているからと言って、実際に皆すぐに行動を起こす訳ではありませんよね。INSEEの今回の調査によりますと、『仕事を持ってはいるものの転職したい』と考える人の中で、直近4週間で本当に職探しをした人は38%だけだそうです。最大の理由は『時間がない』とのこと。「ワールドカップを見たり、バカンスに行く時間はあるのにねぇ」という気がしないでもないですが・・・(笑)

失業率も下がり、フランスの労働環境は改善しているのかと思いきや、一概にそうとは言えないようです。7月9日に仏労働省が発表した数字によりますと、10人以上の社員を持つ企業の給与は、2016年度に+1.2%、2017年度に+1.4%上昇しましたが、インフレ率を加味した会社員の実質的な購買力の上昇率は、2016年度が+0.6%、2017年度が僅か+0.4%と、前年度比で下がってしまいました。

果たして本年度は、景気回復が給与上昇率をもっと押し上げてくれるのでしょうか?購買力の向上は、マクロン大統領の選挙公約の一つでもありましたし、現政府もこれらの統計には神経を尖らせていることでしょうね。