フランスで資産形成をする上で、Assurance Vieは必要不可欠な金融商品です。『Assurance Vie』を日本語に直訳すると『生命保険』となるため、Assurance Vieが生命保険であるかのように勘違いされている方もたまにいらっしゃいますが、Assurance Vieはあくまでも資産形成のための商品であり、生命保険ではありません。ちなみにフランスでは生命保険のことを『Assurance Deces』と呼びます。よく「貯蓄は三角、保険は四角」と言われますが、Assurance Vieは三角、Assurance decesは四角となります。
Assurance Vieは、口座を開き、その中に好きな投資信託を自由に組み込んでいく、という仕組みになっています。口座内には、株・債券などの投資信託(Assurance VieではUnite de compteと呼ばれる)を入れて収益性を狙うこともできますし、元本保証のユーロ・ファンド (Fonds en euros) と呼ばれるファンドのみを利用して、通常の預金のように利用することもできます。以前は、元本保証のユーロ・ファンドのみを口座内に入れるタイプの契約体系(Contrat en euro)が多く販売されていましたが、現在、販売されている契約のほとんど全ては、株・債券などの投資信託も組み込むことができるマルチタイプの契約(Multisupport)です。
積立てたお金を将来的に終身年金として受け取ることも可能、相続対策も万全、そして優遇された税制が適用される、などAssurance Vieは魅力満載の商品です。フランスで一番人気の商品なので、それこそ何百種類もの契約が出回っています。Assurance Vieの口座は、銀行、保険代理店、ネット金融機関、当社のような独立系FP会社など、様々な会社経由で開設することができます。どこの会社を通じて契約を結ぶかにより、手数料や付随するサービスが大きく異なります。各自のニーズにより最適な契約を選ぶために、ぜひとも押さえておきたい大切な3つのポイントを確認してみましょう。
選び方ポイントその1 - 手数料
Assurance Vieには入金する度にかかる『振込み手数料』、口座を維持するために毎年かかる『口座管理料』、アセット・アロケーションを変更する度にかかる『変更手数料』が存在します。口座管理料と変更手数料はそれほど大差ないのですが、『振込み手数料』に関しては0%~4.5%程度まで、と各社大きな違いがあります。仮に振り込み手数料 が4%だった場合、1000ユーロをAssurance Vieに入金しても、実際のところ960ユーロしか投資していない(つまり40ユーロは手数料として取られる)ということになります。ネット金融機関では振込み手数料を0%としているところがほとんどですが、それ以外の会社ではほとんどの場合、振込み手数料がかかります。3.5%以上の振込み手数料は、この業界でかなり高めの部類に入る、と言われています。
選び方ポイントその2 - ユーロ・ファンドの利率
元本保証のユーロ・ファンドの利率は契約により大分異なります。2008年度、優秀なAssurance Vieの契約はユーロ・ファンドの利率4.20 %~4.50 %を実現しました。しかし、3.50%~3.80%の利息しか生み出さなかった契約も山ほどあったのです。Assurance Vieの契約を結ぶ前に、その契約のユーロ・ファンドが過去にどの程度のパフォーマンスを実現していたのか確認するようにしましょう。ユーロ・ファンドの利率は変動利率で、年の初めに「昨年の利率は○○%でした」というように、年に一度、前年度の利率が発表される仕組みになっています。各社のユーロ・ファンドの利率が発表される時期に、新聞やマネー雑誌などでは各社Assurance Vieを比較する特集がたくさん組まれます。それらの情報を利用して、ユーロ・ファンドの利率が平均以上であればOK、ほとんどの年で平均を下回っているようであれば、その契約は選ばない方が無難、というように契約を結ぶ前にしっかり確認しましょう。Assurance Vieは基本的に長期運用となりますので、ユーロ・ファンドの利率の良し悪しにより、10年後、20年後に取り返しのつかない差が生み出されることも大いに有り得ます。過去のユーロ・ファンドの利率は要チェックです。
選び方ポイントその3 - サポート
Assurance Vieでは口座内でアセット・アロケーションを変更することができます。株式市場が上昇している時は、株ファンドを取り入れることにより、収益性を高めることが可能です。しかしボラティリティー(変動率)の高い現代において、利益確定売りを上手にしていかないと、大きく元本割れしてしまうかもしれません。つまり資産形成において、アセット・アロケーションの組み方は非常に重要なのです。よって、ファンドの選び方やアセット・アロケーション変更のタイミングについてアドバイスをしてもらえるかどうか、ということも、Assurance Vieの契約を選ぶ上で大切なポイントになります。また「将来、日本(またはフランス以外の国)で暮らすことになるかもしれない」という方は、更に考えておかなければいけないことがあります。それは海外送金、及び将来の居住国との租税条約についてです。これらのことを責任を持って調べ、実行してくれる会社と契約を結びたいですね。
Assurance Vieはフランスの資産形成において、重要なツールとなる商品です。非常に長期に渡る運用になりますので、様々な商品をじっくり検討し、自分にぴったりの契約を結ぶことをお勧めします。当社では独立系FPの立場を活かし、Assurance Vieの各社契約比較、及び契約実行のお手伝いをしております。ご興味のある方はどうぞこちらのページをご覧ください。
【脚注】文字化けを避けるために、ASSURANCE DECESとUNITE DE COMPTEはフランス語のアクセント抜きで記載させていただきました。