2007年12月31日、フランスを代表する株価指数CAC40が20周年を迎えました。日経平均が導入されてから既に57年が経過していることを考慮すると、CAC40の歴史はまだまだ浅いのですね。今回のコラムは、このCAC40についてのお話です。
CAC40とは?
CAC40は、ユーロネクスト・パリに上場されている銘柄の中で、時価総額・出来高が大きく、代表的セクターに属する40社の株価を対象として構成される株価指数です。1987年12月31日の時価総額を1000として、当日の時価総額がどれだけになっているかを示す「時価総額加重平均」で計算されています。時価総額加重平均を利用した世界の株価指数は非常に多く、S&P 500、ナスダック総合指数、FTSE 100、DAXなどが代表的な例です。日本ではTOPIXや日経300がこの方法で、日経平均株価は「ダウ式平均」によって算出されています。ちなみにCACという名称はCOTATION ASSISTEE EN CONTINUの頭文字から来ています。
CAC40の推移
まずはCAC40のここ20年間の推移を見てみましょう。
NYダウ平均が2247から1739と、たった一日で22.6%も下落したブラックマンデーが起きたのが1987年10月19日。CAC40はその直後に誕生しました。ブラックマンデーの翌年、1988年1月29日に893.82という史上最低の終値を付けた後、CAC40はにわかに上昇していきます。1988~89年と言えば、日経平均が目覚しく躍進した時期ですね。しかし90年に入ると日経平均は急激に下がり始めます。また同年はイラク軍のクウェート侵略、そして東西ドイツ統一と、世界が大きく揺れた時期でもありました。CAC40もかなりの痛手を受けます。
1996年頃から、アメリカ経済の順調な成長もあり、CAC40は落ち着きを取り戻します。1997年のアジア通貨危機、1998年のロシアそしてブラジルの財政危機により、CAC40も一時大幅下落したものの、米連邦準備制度理事会(FRB)の素早い対応により、すぐに立ち直ります。
そしてCAC40は世界各国の株式市場と同様、インターネット・バブルの波に飲み込まれていくのです。2000年9月4日に6 922.33という最高値を付けたCAC40ですが、バブル崩壊後は2003年の前半まで下落し続けました。その後、再び昨年夏まで順調に上昇してきましたが、サブプライム問題によってその流れもストップしてしまいましたね。
CAC40の構成
下の表は、昨年末のCAC40の採用銘柄・終値、及びそれぞれの時価総額を示しています。昨年12月31日付けのCAC40の時価総額は1兆232億ユーロに及びました。
世界の他の株価指数と同様、CAC40の銘柄も定期的に見直されています。2007年12月31日付の採用銘柄の中で、20年前のCAC40誕生時から採用されていた会社の数は僅か17社。上の表の水色で示されている会社がそれに当たります。但し、合併や再編成などの理由で、当時とは名前が変わっているケースもあります。例えば、1987年にCAC40に採用されていたGENERALE DES EAUXという会社。給水事業を行っていたこの会社は、1999年にVivendi Environnementとして生まれ変わり、Vivendi Universal が株式の70%を保有していました。2002年から徐々にVivendi Universalは、その株保有率を下げ、Vivendi Environnementは独立会社への道をたどります。そして2003年にVeolia Environnementと改名し、現在に至るのです。
また、この表から読み取れる興味深いことの一つに、元国営企業が非常に多く含まれている、ということが挙げられます。EDF、Gaz de France、France Telecom、Renault、Air France、Dexiaなど、この20年の間に、民営化に伴い数々の巨大企業が誕生し、CAC40の仲間入りをしているのですね。
CAC40の年間騰落率
最後にCAC40の20年間に渡る年間騰落率を見てみましょう。
1987年12月31日の時価総額を1000として始まったCAC40ですが、20周年を迎えた2007年12月31日の終値は 5614.08に達しています。過去20年の間に、値下がりしたのは6回。そのうちの2回は僅か1%未満の下落です。
2007年はサブプライム問題の発生により、ボラティリティーが非常に高く、年間上昇率も+1.31%という非常に冴えない成績でした。しかしこうして20年の歴史を振り返ると、長期的視点で考えた場合、株式投資は高い収益率を狙えるということを改めて実感しますね。
新年が明けても、相変わらず不安定な株式市場ですが、今年のCAC40はどのような動きをみせるのでしょうか?早く元気のいいマーケットに戻ってほしいところです。