今晩、仏大統領選の第2回目のテレビ討論会が行われます。2回目とは言え、3月20日に行われた第1回目の討論会では5人の有力候補者しか参加しなかった(というか勝ち目のない候補者たちはテレビ局に招待されなかった)ので、11人の候補者全員が揃っての討論会は今晩が初めてとなります。
前回のテレビ討論会の視聴者数は約1000万人でした。フランスの人口は約6700万人ですので、これはすごい数字です。しかもあの3時間半にわたる長いディベートをこれだけの人数が見ていた訳ですから、選挙に対する高い関心がうかがわれます。第1回の討論会で、若いながらも非常にしっかりした対応を見せたマクロン氏の人気は更に上昇し、ここ2週間の世論調査では、ルペン氏を抜いて、マクロン氏が常にトップです。
今夜のテレビ討論会では、参加者が11人ということもあり、どこまで突っ込んだ議論ができるのかは謎ですが、今後の候補者の人気を大きく左右する可能性も大いにありますので、見逃せません。
あくまでも個人的見解ですが、フランス大統領選の話題を取り上げる海外の記事を読んでいると、フランスと温度差があり面白いなと思います。「世論調査なんて当てにならない。フランスの新大統領はルペン氏になりそうだ」というような記事が、まことしやかに報道されていることが多いのには驚かされます。「米大統領選の時も、ブレグジットの時もそうだった」というのが彼らの意見ですが、米大統領選でも、ブレグジットでも、そもそもがかなりの接戦だった、ということを忘れてはいけません。フランス大統領選の第1回投票では、11人の候補者の中で上位は接戦となり、ルペン氏もいいスコアを上げることができるでしょう。しかしながら「決選投票(第2回目投票)が接戦になる」などという世論調査は今のところ一つもありません。ルペン氏の対戦相手が誰になろうが、第2回目投票ではルペン氏が完敗する、というのが全ての世論調査の結果です。しかもここ2週間は、第1回投票でさえも、ルペン氏はマクロン氏に追い抜かされっ放しの状況です。
もちろん、選挙では何が起こるか最後まで分かりませんので、もしかすると信じられないような結末を迎えることもあるかもしれません。ここ最近、急激に支持率を増やしている左翼党のメランション氏も大統領選に大きな影響を与えそうですね。
さて、この「フランス国内と国外で温度差がある」というお話ですが、アセット・マネージメント会社達にとっても同様のようで、フランス系金融の運用レポートを読んでいると「欧州の選挙リスクがマーケットで過大評価されている」という記載が多く、フランス以外の運用会社ではルペンリスクを強く警戒していることが多いように見受けられます。
果たしてフランスの次期大統領は一体誰になるのでしょうか?第1回投票は4月23日に迫っています。