世界中で注目されたフランス大統領選は、マクロン氏が66%、ルペン氏が34%と、マクロン氏の圧勝に終わりました。

一時は「ルペン氏が40%以上の票を集めるのではないか?」と言われていましたので、予想を遥かに下回る数字しか出せなかった国民戦線(ルペン氏率いる政党)は失望を隠せません。

やはり5月3日のテレビ討論会の影響が大きかったのではないでしょうか?ルペン氏はとにかく準備不足・力不足でした。『ユーロ離脱』を掲げながら、実現不可能な夢物語のような計画を語り、またユーロ導入時の状況についても全く無知であったこと。山のような書類を机の上に積み上げ、自分が発言する際にその書類の山から必要な文書を焦って探し出し、読み始めたはいいものの、違う案件の内容だったこと。ルペン氏の失態は数え上げればきりがないのですが、とにかく「大統領にふさわしい人物ではない」という印象を決定づけてしまったことに間違いはなさそうです。

しかも彼女自らが掲げる公約の一つである年金受給開始年齢の引き下げについて、これまでと違う内容を言い始めた時は強烈でした。マクロン氏に「以前と言っていることが違いますね」と指摘されるとルペン氏は逆切れしていましたが、実際のところマクロン氏が言った通り、テレビ討論会で述べた内容と違うことを、彼女は4月に動画で流していたのです。

他にも色々おかしなところがあり、あの討論会を見て、私個人的には「ルペン氏、そして国民戦線のこれ以上の台頭はなさそうだな」ということを強く感じました。お蔭でテレビ討論会の後は、決選投票の結果を心配することなく、安心して日常業務に集中することができました。(今、仕事が思いっきりたまっているもので・・・)

さて大統領選に勝利したマクロン氏ですが、彼の望む政策を進められるかどうかは、この6月に行われる仏国民議会(下院)選にかかっています。約1年前に誕生したばかりの彼自身が立ち上げた政治グループ『前進!』だけで議会の過半数を占めることは非常に難しいかもしれません。社会党や中道・右派の政治家たちをどこまで取りこめるのか、そして協力してやっていくことが可能なのかどうか、道はかなり険しそうです。

勝利に酔いしれる時間もなく、マクロン氏は次なる戦いに挑み始めました。まだまだフランスの政局からは目が離せませんね。