オランド前政権が2018年1月1日より源泉徴収を始めるよう法改正を行っていたにも関わらず、マクロン大統領は就任直後にその導入を延期し、果たしてどうなることか、と懸念されておりましたが、先週月曜日(11月13日)に「源泉徴収は2019年1月1日よりスタートする」という政府の意向が明らかになりました。
会社員の給与、年金、失業保険、自営業者の所得、不動産所得など、ほとんどの所得に対して源泉徴収が始まります。来年の春に、これまで通り前年度の所得を確定申告すると、その所得額を元に2019年度から適用される源泉徴収率が計算され、納税者に通知されます。
「失業してしまった」など年の途中で大きく所得が変わるような事態が発生した場合は、自ら税務署に申請することにより、源泉徴収率をすぐに変更してもらえます。
フランスの所得税は世帯ごとに課せられますが、例えば夫婦間で所得の差が大きい場合などは、世帯一律の源泉徴収率にするのではなく、『各自の所得に合わせた別々の源泉徴収率を適用してもらう』というオプションを選択することも可能です。
源泉徴収が始まるのは2019年からです。よって
➡ 2018年は現行システム、つまり2017年度の所得に対する所得税を支払う。
➡ 2019年は、2019年度の所得に対する所得税を支払う。
ことになります。
「え?それじゃ、2018年度の所得は課税されないことになっちゃうの?」と疑問に思われるかもしれませんが、給与・年金・失業保険など、源泉徴収に関わる所得に対してはまさにそうなるのです。とは言え、今回導入される源泉徴収方式とは別枠で計算される株や不動産の売却益、利子所得や配当金などの所得に関しては、2018年の分も、もちろん課税されます。また「2018年度の給料には課税されないから、2017年度と2019年度の給料を低く抑えて、2018年度の給料だけを高くしちゃおう」という考えの元、所得税額を下げようと報酬額を操作する人が出るかもしれませんので、2018年度分の所得もきちんと確定申告させ、税務署が厳重にチェックすることが予定されています。
フランスで暮らす人たちにとっては、大きな変化となる源泉徴収の導入ですが、2019年からスムーズにスタートできるのでしょうか?何だか色々問題が発生しそうで心配です。。。