いつでも引き出し可能で、利息に対して税負担が一切課せられない、ということでフランス人に大人気の非課税預金口座Livret Aは、これまで、インフレ率の動向に合わせて国が定期的に金利の見直しを行ってきました。従来のやり方であれば、この2月1日からも金利が変わるはず(と言うか、上がるはず)だったのですが、昨年末に政府が『2020年1月末までLivret Aの金利を0.75%に据え置きする』という方針を明らかにしているため、0.75%のままになっています。
Livret Aに預金されたお金は、低所得者向けの公共住宅の融資財源として使われています。預金者に支払う利息を引く抑えることができれば、公共住宅関連の融資に対して低い金利を提示することができるようになり、投資の活性化につながるだろう、というのが政府の思惑です。
Livret Aには、元々インフレを僅かに上回る程度の金利しか付きませんでしたので、単に『万が一のための資金を、インフレで目減りすることがないようにキープしておくための口座』という使い道しかありませんでした。ところがこれからは、物価はどんどん高くなるのに、Livret Aの金利は2020年1月末まで0.75%のままなので『インフレで目減りしてしまう預金口座』となるのです。
1月31日にINSEEが発表した1月のインフレ率の速報値は、年率換算すると+1.4%でした。既にLivret Aの金利を大きく上回っているのです。預金者にとってはLivret Aにお金を入れておくと、インフレによりその価値がどんどん下がってしまう、という訳です。しかもこの状況は2020年1月末まで、更に加速することでしょう。
Livret Aに入れっ放しで目減りしていくお金の運用先を、そろそろ真剣に考え始めなければならない時期に来ているようです。