皆様、ETF(株価指数連動型上場投資信託)についてご存知ですか?ETFとはExchange Traded Fundの頭文字を取ったもので、TOPIXや日経225などの主要な株価指数に連動するように作られているファンドのことをいいます。
フランスではETFという名前ではなく、Trackers(トラッカー)と呼ばれています。2001年からユーロネクスト(2000年9月にパリ証券取引所、アムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所の3つの取引所が合併して設立された証券所のこと)に登場したTrackersですが、2006年2月現在その数は94種類にも上ります。それではTracker の主な特徴をまとめて見てみましょう。
1.わかりやすい
私たちがよく目にする主要な株価指数の動きに連動するように作られているので、値動きがわかりやすいと言えます。例えばCAC40が5%上昇すれば、CAC40連動型のTrackersもほぼ5%上昇し、下がるときも値動きは同様です。フランスのラジオでも、毎朝、日経225が何パーセント上下したか放送していますし、各国の主要株価指数の情報を目にしたり耳にしたりする機会は、非常に多いですよね。身近な株価指数に連動して値動きするTrackersは個別の株価よりもわかりやすいのが人気の秘密です。
2.リスク分散
Trackersを買うということは分散投資をするということになり、リスクが軽減されます。ひとつ例を挙げて説明していきましょう。例えば、TOPIX連動型のTrackersには東京証券取引所一部上場の会社の株がすべて含まれています。TOPIX連動型のTrackersを買うということは、つまり東証一部に上場しているすべての会社の株を買うのと同じことになります。もしTrackersではなく、某A社の株を買ったとすると、A社が倒産した場合、その株の価値は0になってしまいます。しかしTrackersではA社以外の数多くの会社の業績も反映されるので、その中の1社が倒産したからといってTrackersの価値が0になることはありません。つまり分散投資によるリスク軽減のメリットがあるのです。
3.手数料が安い
上記のリスク分散のコメントを読まれて「それって、投資信託だって同じじゃないか?」と思われた方もいらっしゃると思います。その通り、通常の投資信託も分散投資なのですが、Trackersと投資信託には決定的な違いがあります。それは手数料の安さです。投資信託には購入時に「販売手数料」(株式投信の場合には2%程度が平均)、解約時に「信託財産留保額」(ない場合もあります)を支払わなくてはなりませんが、Trackersではこれらの手数料はかかりません。
ただし投資信託と同様、信託報酬はかかります。信託報酬とは、投資信託やTrackersを実際運用、管理している会社に対して支払う経費のことで、日々間接的に投資信託の財産から差し引かれています。Trackersの信託報酬は、年率0.0165~0.65%となっています。投資信託の信託報酬率は様々なタイプがあり、一概には言えませんが、年率0.5%前後から2%前後のものが多いので、やはりTrackersよりは高くつく場合がほとんどでしょう。
4.取引所に上場されている
通常の投資信託を購入するには、その投資信託の販売を取り扱っている販売会社のみでしか購入できませんが、Trackersは証券取引所に上場されているので、普通の会社の株を取引するのと同様、どこの証券会社を通じてでも売買することができます。また基準価格でしか取引できない投資信託と違って、指値や成り行き注文での売買もできます。
5.パリで暮らしながら日本株に投資
2006年2月現在、ユーロネクストに上場している日本株関連のTrackersは3つあります。パリにいながら日本経済の更なる回復を予想してユーロでTOPIX連動型のTrackersを購入するということもできるわけです。例えばユーロネクストに上場しているLIXOR ETF JAPAN (TOPIX)の場合、その価格が[TOPIXの水準÷ユーロ円為替レート×10]の水準になるように設定されています。2006年2月24日の価格で計算してみると、[1,647.74 ÷ 139.11 (ここでは仮に欧州中央銀行の為替レートを使いました) × 10 = 118.4487 ] となり、実際その日、このTrackersはこの価格前後で取引されていました。東京証券取引所で上場されているTOPIX型ETFは100口からでないと購入できないので、2006年2月待つの水準ですと最低でも16万5千円前後の金額が必要ですが、ユーロネクストに上場しているETFは同じTOPIX型でも1口から購入できるため、その約10分の1の金額からの投資が可能です。
いかがでしょうか?フランス版ETFのTrackers、全体像が見えてきたのではないでしょうか?今後、ご自身の資産運用を設計する際の選択肢の一つに加えてみるのもいいかも知れませんね。それでは次回のコラムでお会いしましょう。