フランスでは、課税資産評価額が770,000ユーロ(2008年現在)を超える世帯に対して、ISF(富裕税)という税金が課せられています。この『770,000』に当たる数字は毎年見直されています。ちなみにおととしは750,000ユーロ、昨年は760,000ユーロ以上の課税資産評価額を持つ世帯がISFを支払わなければなりませんでした。2008年現在のISFの税率は下記のようになっています。
ISFの説明、その計算方法はこちらの過去のPARIS FPのコラムでご覧いただけます。
お金持ちの証とも言えるISF。本日のコラムでは、ISFを支払っている人たちはどの都市に集中しているのか、またそれらの都市でISFを支払っている世帯の平均課税資産評価額はどの位なのかを見てみましょう。お金持ちはフランスのどの地域に集中しているのでしょうか?
都市別に見たISF
2006年度は、およそ457,000の世帯がトータルで36億8000万ユーロのISFを支払いました。次の表は、ISFを課せられた世帯数が多い都市ベスト10です。
1位はやはり首都、パリ。他都市を大きく引き離し、2006年には73,362もの世帯がISFを課せられました。そして、ここで注目したいのが2位のヌイイ・シュール・セーヌ(通称ヌイイ)です。ヌイイはパリ西郊の高級住宅地です。サルコジ大統領が1983年から2002年まで市長を務めていたことでも有名ですね。上の表で、世帯数のみを見ると、圧倒的にパリの方が裕福な世帯が集中しているように感じますが、パリは人口約217万人の大都市。ヌイイは約6万人の人口を抱えるのみの小さな市です。都市の規模を考慮すると、いかにヌイイにはお金持ちが集中しているかが、お分かりいただけるかと思います。しかもその平均課税資産評価額も約293万ユーロと、他都市を大幅に上回っています。
ベスト10の中に、1位のパリ、2位のヌイイ、5位のブローニュ・ビヤンクール、そして7位のヴェルサイユと、イル・ド・フランス地方の都市が4都市含まれていることから、フランスの富がパリ近郊に集中している状況が確認できます。
パリ市内のISF
それでは、次にパリ市内のデータを区ごとに見てみましょう。
ISFを支払っている世帯数は、16区が郡を抜いてトップです。お隣の15区にも、ISFを課せられている世帯がかなり多いですね。平均課税資産評価額では7区、そして8区が、高い数字を挙げています。それぞれの区に個性のあるパリですが、ISFのデータからも、その違いが垣間見れるのは面白いですね。
昨年、サルコジ大統領は税制パッケージ法案の一環として、ISFの資産評価額の計算とその税額控除を改正しました。これらの改正により、ISFを支払わなくても済むようになる世帯、またはISFを大きく減額できるようになる世帯が増えると言われています。(税制パッケージ法案については、PARIS FPのこちらの過去コラムをご覧ください)サルコジ大統領の改革がどれだけISFに影響を与えたのか、将来発表されるデータに注目したいところです。