私がパリで暮らし始めた2002年のフランス大統領選では、シラク元大統領とルペン氏(現大統領候補のマリーヌ・ルペン氏の父)が決選投票に進みました。

通常、決選投票前にはテレビ討論会が行われるのですが、シラク元大統領は、極右のルペン氏とは議論などできない、ということで討論会を拒否。その後、第2回投票ではシラク元大統領82%、ルペン氏18%、という圧倒的な強さで勝利を飾りました。

そのシラク元大統領が退任前、エリゼ宮からの最後の演説の中で「どうか過激主義、人種差別主義、反ユダヤ主義など排他的な主義に傾かないでください」と国民にメッセージを送ってから早10年。

今回の大統領選で、シラク氏のかつての敵の娘が有力候補になっているとは、なんとも残念なことです。今朝発表されたBFMの世論調査によりますとマクロン氏が24%でトップですが、ルペン氏が21.5%、フィヨン氏20%、メランション氏19.5%と、その差はごく僅かです。ここまで接戦となりますと、あさっての選挙戦はどうなるか全く分かりませんね。

最悪のケースはルペン氏とメランション氏が決選投票に勝ち進むことです。極右のルペン氏、急進左派のメランション氏、どちらもフランスにとって好ましくない結果となるからです。でもメランション氏がそれほどの票を獲得できず、マクロン氏かフィヨン氏のどちらかが勝ち残るのであれば、第2回投票でルペン氏が勝利する可能性は極めて低いので、市場もホッと一安心するかもしれません。

フランス国籍を持たない私には投票権がありませんので、フランス人たちが正しい決断をしてくれることを祈るばかりです。