昨日の国民議会選挙では、予想通りマクロン大統領の政党の圧勝となりました。

全577議席中、各党派がどの位の議席数を獲得したのかを見てみましょう。

共和国前進とその連携政党であるモデム: 350議席(60.7%)
共和党と連帯政党: 137議席(23.7%)
社会党と連帯政党 : 45議席(7.8%)
急進左派と共産党 : 27議席(4.7%)
国民戦線: 8議席(1.4%)

今回の国民議会選挙において特筆すべき点をまとめてみると次のようになります。

共和国前進!の圧勝 — 予想されていたよりは少ない議席数となりましたが、それでもこの結果は紛れもなくマクロン大統領の勝利です。

国民戦線と社会党の大敗 — つい3ヶ月前には脅威と恐れられていたルペン氏の人気が、大統領選決戦前のディベート後、急降下し続けていることが、今回の選挙で改めて明らかになりました。二大政党の一つであった社会党も、議席数を大きく失い、危機的状況にあります。

共和党と連帯政党が約24%の議席を獲得 — 社会党と同様、大きく議席数を減らしたものの、共和党は連帯政党と合わせて137議席を得ましたので、何とか自らの政党の意見も通すべく、今後マクロン政権と議会で対立することがありそうです。

急進左派政党『屈しないフランス』の健闘 — メランション氏率いる急進政党は17議席、共産党は10議席を獲得し、9議席しか取れなかった国民戦線を大きく上回りました。『屈しないフランス』の党員たちは、マクロン大統領の政策に真っ向から反対しています。

低い投票率 — 1週間前の第一回投票より投票率は更に下がり、過去最低の42.64%となりました。

より若く、より女性が多くなった —2012年当時の下院と比べ、平均年齢は54歳8か月から48歳8か月へ、女性の議席数は155議席から223議席へと大きく変わりました。

1年ちょっと前に生まれた政治グループが国民議会で過半数を取るとは、すごいことですね。時代の流れや運ももちろんあるかもしれませんが、就任後のマクロン大統領の仕事ぶりからは、ストラテジーの良さがあちこちから垣間見れますし、今回の選挙結果も起こるべくして起こった気がします。

新内閣の編成で、国民に人気の高い共和党ジュペ氏の派閥の議員であるフィリップ氏を首相に任命したことは、さすがだと思いました。

また、国民にも企業にも戸惑いがみられていた源泉徴収制度に関して、大統領就任から1ヵ月もしないうちに、早くも延期の決定を下したこともよかったですね(補足説明 : 先日の記事で取り上げた源泉徴収計画は、6月6日に正式に延期されました)。ちなみにマクロン大統領は、税制改革において会社員の税負担軽減を予定しているのですが、もし源泉徴収が始まるタイミングと、税制改革の適用開始時期が重なってしまうと、税の軽減効果を国民にはっきりと感じてもらえなくなってしまいます。だからこそ、マクロン大統領は源泉徴収が来年1月1日から始まらないようにしたかったのだ、とも言われています。

下院選で見事、過半数を勝ち取ったマクロン大統領。新政権は彼の政党の名前と同様に、文字通り『前進!』しています。公約通りの政策が実現し、そして結果を出せるのでしょうか?どうなるのか楽しみです。