先月末、金融法案が提出されました。当社の過去コラムでご紹介しましたマクロン大統領の公約に沿った内容で、個人の税制に関わる大きなポイントは次の3つです。

1. 金融商品から発生した利益に一律30%の税率を適用する
2018年1月1日より、利子所得、株普通取引口座の譲渡益、配当金、そして一部のAssurance Vie(※下記、補足説明)から発生する所得に対して、一律30%のフラット・タックス(今後はPFU ~Prélèvement forfaitaire unique~と呼ばれる)が適用されます。

2. 富裕税の課税対象資産が、今後は不動産のみになる
フランスには多額の資産を持つ世帯に課せられる富裕税というものが存在します。毎年1月1日時点で130万ユーロ(約1億7160万円)以上の資産を持つ世帯に対して課せられる税金のことなのですが、2018年からはその課税対象資産が不動産に限定され、金融資産などは対象外となります。ちなみに、不動産は直接投資のみならず、SCPI(不動産共同投資商品)やOCPI(不動産への直接投資と上場不動産会社の株式が混ざったファンド)も含まれます。また改革に伴い、その名称もISF(連帯富裕税)からIFI(不動産富裕税)へと変わることになりました。

3. 全体の80%に当たる世帯が2020年までに住民税を支払わなくて済むようになる
独身世帯なら年間参照所得(REVENU FISCAL DE REFERENCE)が27,000ユーロ未満、子供のいないカップル世帯なら43,000ユーロ未満、子供1人を持つカップル世帯なら49,000ユーロ未満、子供2人のカップル世帯なら55,000ユーロ未満、といった形で家族構成によって定められた一定所得額未満の世帯に対しては、来年から段階的に住民税が減額されます。具体的には2018年に本来の住民税の30%が減額、2019年には65%が減額となり、2020年には全額免除となります。

上記1番目の項目で※印が付けてあります、Assurance Vieに関する補足説明をさせていただきます。

『一部』のAssurance Vieにのみ新税制が適用されるとは、どういうことかといいますと、法案が提出された2017年9月27日以降にAssurance Vieに入金された部分について、その残高が一人当たり150,000ユーロ(約1,980万円)以上になる場合にのみ、PFUが課せられることになります。

150,000ユーロというのは、複数の金融機関、複数の商品を合わせた残高総額(ただし2017年9月27日以降に入金された部分に限る)のことを意味します。一律30%のPFUが適用されるとしても、これまでと同様に満8年が経過した際の特別控除(一人世帯なら4,600ユーロ、カップル世帯なら9,200ユーロ)は今後も継続されます。

2017年9月27日以降に入金された部分の残高総額が150,000ユーロに満たない場合は、従来通りの税制が適用されることになります。今現在のAssurance Vieの税制については、当社HPのこちらのページをご参照ください。

尚、来年からは社会保障費負担が現状の15,5%から17,2%に上昇することが予定されております。

これからこの法案は国会で審議されることになりますので、最終的に法律が施行されるまでには、細部に変更が入る可能性がございます。

当社経由で口座をご開設いただいているお客様には、この法案可決後、Assurance vieに関する従来の税制と新法の違い、そして日本にご帰国された後にお金引き出される際の税金について詳しくご案内させていただきます。

法改正後も、Assurance vieがフランスの金融資産運用設計において、必要不可欠な商品であり続けることに間違いはなさそうです。