フランスでは居住地によって確定申告の期限が異なります。先週6月5日はパリ地域での申告期限でした。そして今回申告した2017年度の所得の対する税額が記載された『納税通知書』が、夏以降に送られてくることになります。
このように今現在フランスでは、前年度の所得に対する所得税を、翌年に支払う(というか精算する)という形になっていますが、当社のブログでも何度かお話しましたように、来年からは源泉徴収方式となるため、
➡ 2018年は現行システム、つまり2017年度の所得に対する所得税を支払う。
➡ 2019年は、2019年度の所得に対する所得税を支払う。
ことになります。
つまり給与・年金・失業保険など、源泉徴収に関わる所得に限り2018年度の所得は課税されないことになるのです。但し、株や不動産の売却益、利子所得や配当金など、特別に発生した所得は2018年度分もしっかり徴収されます。
2018年度の給与所得が課税されないということであれば、「2018年度分の所得をとても高くして節税対策をしよう」と考える経営者が出てくるかもしれませんね。そのことを防ぐために、税務署は経営者の所得に関して特別な措置を取ることになりました。
その措置とは『2018年度の経営者の所得が、過去3年(2015年度、2016年度、2017年度)における最高所得額以下であれば、2018年度の所得は課税されない。過去3年の最高所得額を超える場合は、所得超過分が課税される』というものです。
例えば過去3年間の所得が、次のような金額だった経営者がいたとします。
【2015年度】 100 000 ユーロ
【2016年度】 110 000 ユーロ
【2017年度】 120 000 ユーロ
この期間において一番高かった年間所得額は120 000ユーロです。
仮にこの経営者の2018年度の所得が120 000ユーロだったとします。これは過去3年の最高額と同額ですから、一般的な会社員と同様『2018年度の所得に対する課税はなし』ということになります。
ところがもし2018年度の所得が150 000ユーロだったらどうでしょう?過去3年の最高額を上回る金額ですので、上回った金額(150 000 – 120 000 = 30 000ユーロ)の部分のみ、『2018年度の給与所得』ということで課税されてしまうのです。
ただ、このままですと、会社員だったら2018年度の給与は非課税になるのに、経営者が所得を伸ばした場合に限り課税される、ということになり、不公平ですよね。
そこで、税務署はいくつかの『例外』を認めています。2018年の経営者の所得が過去3年の最高所得を上回り、尚且つ2019年度の所得も順調に伸びていた場合は、「2018年度の所得上昇は自然な流れだ」とみなされ、超過分も含め、2018年度の所得は非課税となります。
更に別の例外として、もし2018年度の所得が突然高くなったのに、2019年度の所得がガクッと下がった場合でも、それがわざとではなく、ビジネスにおいてたまたまそのような金額の変化に繋がった、ということをきちんと証明できれば、2018年度の経営者の所得は非課税と認められるそうです。
何だか面倒ですね。私もPARIS FPという会社の経営者ですので、まさにこの措置が絡んできます。所得に関する説明や証明に時間を取られたりしたら大変ですので、本年度、来年度と順調に成長できるように頑張らねば!と改めて心に誓いました(笑)