フランスで暮らし始めて21年が経ち、たいていのことには慣れているものの、ストだけは相変わらずどうにも受け入れられません。そう思っているのは私だけではないようで、フランス暮らしが長い当社のお客様も皆様、ストにはうんざりで怒りを感じていらっしゃるようです。
電車やバスの本数がぐっと少なくなったり、公立校の先生が欠席で休講になったり、ごみ収集のストでパリ市内にごみがあふれたりと、本当に困った状況になっています。ところが、テレビのニュースでインタビューに答えるフランス人の多くがストに対して理解を示している様子で、これまた日本人としては理解に苦しみます。
フランス人の中にも、今回の年金改革を「必要なことだから仕方がないよね」と受け入れている人たちはもちろん存在します。私が身を置く金融業界(特にマーケット関係者)の間では、マクロン大統領に対する評価が高い人が多いです。しかしながら19日付でJournal du Dimanche紙が発表した世論調査によりますと、マクロン大統領の支持率はわずか28%になったとのことですので、「私の周りのフランス人たちが少数派で、大多数は年金改革に反対」というのが正しい状況のようです。
フランスでは内務省の公式サイトで『ストをする権利』についてのページが存在するくらいですので、ストをする側は「自分の意見を表明するために当然の権利だ」と考え、迷惑を被る側も「子供の学校がお休みになった大変だけど、ストをする人たちの気持ちも分かる」と受け流す、というパターンが浸透しています。
年金改革に対する反発はかなり強いので、これからもまだしばらくの間は不便な生活が続きそうです。2018年の『黄色いベスト運動』の時のようにデモ隊が暴動化しないことを祈るばかりです。