クリスマスが近づく頃、フランスでは日頃お世話になっているごみ収集員、消防署員、郵便配達人、アパルトマンの管理人さん、クリーニング・レディさんなどに、ちょっとした心づけを渡す人が多いです。この慣習はETRENNES(エトレンヌ)と呼ばれています。
管理人さんやクリーニング・レディさんに対しては、普通のプレゼントのように「いつもお世話になっています。これはほんの気持ちです」という感じで渡しますが、ごみ収集員や消防署員などは、彼らの方から「ピンポ~ン♪」と呼び鈴を鳴らして訪ねてきます。そして通常、子猫とか子犬の写真が入った来年のカレンダーを持ってきて、それを渡す代わりに、エトレンヌをもらう、というのがパターンです。
いくら渡すのが相場なのかネット検索してみたところ、どのサイトでも大体、下記のような平均額を掲載していました。
● ごみ収集人 : 5ユーロ
● 消防署員 : 5~10ユーロ
● 郵便配達人 5~15ユーロ
● 管理人 : 家賃の5~10%(余裕がなくてそんなに渡せない、という場合は30~50ユーロ)
● クリーニング・レディ : 少なくとも50ユーロ
● ベビーシッター : なるべく寛大な予算で、シッターさんが喜ぶものをプレゼント
エトレンヌを全く渡さない人もいますので、上記の数値は、あくまでも「あげている人は、このくらいの金額を渡しているんだな」という目安としてご覧ください。
クリスマス前のこの時期に、ちょっとした気持ちを渡すことはいいことだとは思うのですが、残念ながらこの慣習を利用した詐欺は毎年横行します。そのためにここ最近、例えばパリ、リヨン、ニースなど一定の地域では、ごみ収集など公的サービスに従事する人が、エトレンヌをもらう目的で個人宅を訪問することは禁止されるようになりました。
どういう詐欺行為が起こっているのかというと、ごみ収集員になりすましてエトレンヌを受け取ってしまうのはもちろん、お年寄りがお金を用意している間に家のものを盗む人、または空き巣の偵察をする人もいるそうで、全く油断も隙もあったもんじゃありません!
被害を防ぐには、エトレンヌに来た人に職業身分証明を提示してもらうか、または前もって建物に「12月XX日のX時頃にごみ収集員の〇〇〇が皆さまのお宅をご訪問します」といった張り紙をしてもらう、という形で確認する、といった方法があります。要は「身元のはっきりしないしない人が来たら、要注意」ということですね。物騒なご時世ですので、十分に気を付けましょう。