11月1日から3月31日まで、フランスではTREVE HIVERNALEと呼ばれる期間に突入します。TREVE HIVERNALE (直訳すると「冬の休戦」)に当たるこの5か月の間は、仮に家賃が未払いだとしても、大家さんは賃借人を追い出すことができません。

この措置の歴史は長く、アベ・ピエール神父のイニシアティブの元、法令化されたのは60年前の1956年12月4日でした。2008年には弱者を守るこの制度が更に強化され、電気・ガスなどの温暖設備を提供する会社も、同期間中は未払い世帯へのサービスを継続しなければならなくなりました。また、2013年までは、TREVE HIVERNALEの期限が3月15日までだったところ、Loi ALURと呼ばれる法律により、終わりの日にちが3月31日までに延長されました。社会主義色の強いフランスらしい法律ですね。

「家賃未払いの賃借人を追い出すことができない」ということは、大家にとっては非常に厳しいものがあります。その為に、大家は賃借人選びに非常に慎重にならざるをえなくなり、家賃が所得の3分の1未満に収まり、きちんとした保証人を持つ借主ばかりを選ぶことになりがちです。

冬の期間中は未払いの人を追い出すことはできませんが、追い出すための手続きを冬の間に始め、4月1日に発動することは可能です。また、冬期間に突入するまさに前日である10月31日に追い出されてしまった、というケースも報道されています。アベ・ピエール財団によると、2015年度に行われた警察も絡んだ強制退去は14 363件に上り、これは2014年度と比べると24%増の件数です。

冬場は非常に寒いパリ。天気予報によると来週は2度まで下がる日もあるそうです。